2026年3月期の業績予想について
会社名 テクセンドフォトマスク株式会社
代表者名 代表取締役社長執行役員CEO 二ノ宮 照雄
問合せ先 テクセンドフォトマスク株式会社 大代表
(TEL 03–5418–3905 )
2026年3月期(2025年4月1日から2026年3月31日)における当社グループの連結業績予想は以下のとおりであります。
(注)
1.当社は2023年3月期より国際会計基準(IFRS)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2.2025年3月期(実績)及び2026年3月期1四半期累計期間(実績)の1株当たり当期(四半期)利益は、期中平均発行済株式数により算出しております。
3.調整後営業利益、調整後EBITDA及び調整後当期(四半期)利益につきましては、国際会計基準により規定された指標ではなく、当社の業績を評価する上で、通常の営業活動の結果として投資家が有用と考える財務指標であり、上場準備のために発生するスタンドアローン・上場準備費用等の非経常的なものについて除外しております。
4.調整後営業利益は以下の算式により算出しております。
調整後営業利益 = 営業利益(IFRS)+ 減損損失 + スタンドアローン・上場準備費用 + 株式報酬費用 + 資本再編の検討に要した費用
5.調整後EBITDAは以下の算式により算出しております。
調整後EBITDA = 当期(四半期)利益(IFRS)+ 法人所得税費用 - 金融収益 + 金融費用 + 減価償却費及び償却費 + 減損損失 + スタンドアローン・上場準備費用 + 株式報酬費用 + 資本再編の検討に要した費用
6.調整後親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益は以下の算式により算出しております。
調整後親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益 = 親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益(IFRS)+ 減損損失 + スタンドアローン・上場準備費用 + 株式報酬費用 + 資本再編の検討に要した費用 + 資本再編に伴う株式譲渡課税 + 欧州連結子会社の繰延税金資産の回収可能性見直し + 調整項目に対する税金調整額
【調整後営業利益の調整表】
【調整後EBITDAの調整表】
【調整後親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益の調整表】
(注)
1.スタンドアローン・上場準備費用は、主に東京証券取引所への上場に関連して、また、独立した企業体制の構築に関連して発生したコンサルティング費用及び引当金を含みます。
2.資本再編の検討に要した費用は、2024年7月の子会社の再編及び2025年3月の中国事業の再編に関連する支出を含みます。
【2026年3月期業績予想の前提条件】
1.当社グループの見通し
当社グループは、当社、連結子会社13社及び持分法適用会社2社の計16社で構成されており、世界各地に広がるサービスネットワークと主要な半導体需要地域に所在する8つの製造拠点を活用し、業界最先端の技術開発力で、外販フォトマスク市場のリーディングカンパニーとして事業活動を行っております。
フォトマスクとは、フォトリソグラフィ技術において、対象物に任意の図形(パターン)を転写するための原版となるガラス基板であり、今日では半導体製造工程の一つである露光(リソグラフィ)プロセスにおいて広く使用されており、フォトマスク上の半導体回路パターンをシリコンウェハ上に縮小露光することにより微細な回路パターンを形成することが可能となります(図1)。かつてはIDM(垂直統合型)という事業モデルにより、各半導体サプライヤーはフォトマスクを内製し、自ら調達することが主流となっていましたが、世界的なファブレス・ファンダリ事業モデルの普及により半導体の設計機能と生産機能が水平分業されたことで、今日のフォトマスク市場は、半導体サプライヤーの内作による供給と、当社のようなフォトマスク製造を専業とする外販メーカーによる供給に大きく二分されております。
当社グループは、フォトマスク内作を持たない半導体サプライヤーや研究機関によるフォトマスクの製造委託需要に加え、内作を持つ半導体サプライヤーにおいて発生する外注需要にも応え、量産および試作・研究開発用途で、様々な高精細フォトマスクの製造を受託しております。
(図1)半導体製造プロセス
半導体市場は歴史的に微細化の追求とともに成長してきましたが、近年ではEUVリソグラフィの実用化等の技術革新により先端半導体領域において、特にTSMCやSAMSUNGといった最大手半導体サプライヤー間においては微細化競争が激化しております。現在のところEUV向けフォトマスクの多くは、それら最大手半導体サプライヤーの内作によって供給されておりますが、各社の更なる微細化競争に伴い、将来当社のような外販サプライヤーに対しても外注需要が高まることが想定されます。併せて、エッジAIやIoTといった半導体の用途が拡充されたことにより、先端光マスクの需要も増加傾向にあり、その多くはフォトマスクの内作を持たない半導体サプライヤーにより供給されていることから、外販フォトマスクベンダーに対する外注需要も増加しております。
加えて、米中摩擦を筆頭に安全保障などの観点から、半導体市場はデカップリングが進みつつあり、各国において自国の半導体産業を確立すべく様々な産業支援策がとられております。これにより従来、国際的な水平分業モデルとして一極集中的な供給体制を取ってきた半導体業界全体、各プレイヤーが各国地域に分散した製造拠点を構築する方針に舵を切ると共に、各地において新たなファウンドリが勃興する事態に発展しつつあります。
上記のような半導体の総体的な需要量の増大と、需要地・需要者の分散化に伴い、フォトマスクの総需要は堅調に増加しており、当社の事業機会の増加につながっております。
足元のフォトマスク市場の成長については、2024年3月期のフォトマスク市場は、近年コロナ禍やAIの普及をきっかけとして過熱していた半導体需要が鎮静化したことで一時的な踊り場を迎えておりましたが、2025年3月期には在庫調整が進み、回復基調に転じております。前述のファンダメンタルな半導体需要の増加と併せ、この傾向は今後も継続することを想定しております。
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、中東地域における緊張の高まりや、米国の関税政策など、地政学リスクの不確実性は増加しましたが、各国政府の政策対応や民間需要の回復により、国や地域によって差はあるものの、全体としては緩やかな回復基調を維持しました。こうした経営環境の下、半導体市場ではAIチップやHBM(高帯域幅メモリ)をはじめとしたAI関連用途に集中した強い需要が依然として市場を牽引するなか、他製品(スマートフォン、自動車、機器産業等)向けでは需要回復が鈍く用途間の格差が鮮明になってきており、市場全体としては、在庫調整は進んできているものの、需要回復の勢いは限定的にとどまりました。一方、外販フォトマスク市場においては、EUVマスクの外注需要が顕在化したことに加え、先端品、基幹品ともに、半導体チップの量産需要に加え試作・開発需要が一定程度発生したことが下支えとなり、フォトマスク全体の需要は底堅く推移しました。
このような中、当社グループは、そのグローバル生産ネットワークと顧客ネットワークを活かし、各地域における多様な顧客需要を最大限取り込むことによって市場シェアを堅持した結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上収益は30,076百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は5,875百万円(前年同期比12.7%減)、税引前四半期利益は6,799百万円(前年同期比18.3%減)、また親会社の所有者に帰属する四半期利益は5,475百万円(前年同期比22.5%増)となりました。
2026年3月期の通期業績見通しについては、上記フォトマスク市場の回復・成長基調が継続するとともに、当社はその市場シェアを堅持することで、売上収益125,291百万円(前年対比106.2%)を達成すると見込んでおります。他方で、これまでの成長ドライバーであった中国において、当局の支援を受けた現地フォトマスクサプライヤーの拡大と成長に伴い今年度より過去にないレベルで価格競争が激化していくことを想定し、営業利益は25,500百万円(前年対比90.4%)と、収益率の悪化を見込んでおります。当社としてはかかる状況に鑑み、早期に、中長期的な目線で同国市場に対する事業戦略の見直しを既に進めております。
なお、為替レートは1米ドル=140円を前提としております。
2.業績予想の前提条件
(1)売上収益
営業部門が顧客より提示された製品生産計画や、工場・生産ラインの稼働計画など、様々なフォーキャスト情報に加え、一部顧客と締結済みの長期供給契約の内容、当社の生産キャパシティの拡張計画などを総合的に勘案し、蓋然性の高い当社の生産計画として組み立てております。
2026年3月期の売上収益については、前述の中国における価格競争により、同国由来の収益は低下するものの、他の需要地において先端・非先端領域における需要を広く取り込むことで売上収益125,291百万円(前年対比106.2%)を達成する想定としております。
(2)売上原価、売上総利益
フォトマスク事業は資本集約型のビジネスモデルであることから、前述の売上計画に基づき材料費を主とする変動費を計画するとともに、固定費については各生産拠点における設備配置・人員配置に基づいて種々の費用予算の積み上げにて策定しております。生産数量の拡大に伴う材料費の増加、生産設備の拡充に伴い減価償却費、修繕費ほか必要経費が増加することを見込み、売上原価は84,570百万円(前年対比110.1%)とし、前述の中国市場における価格下落と併せて、売上総利益は40,722百万円(前年対比99.0%)にとどまる見込みとしております。
(3)販売費および一般管理費、営業利益
2026年3月期において、販売費及び一般管理費については14,246百万円(前年対比110.4%)、研究開発費976百万円(前年対比122.5%)を見込んでおります。サステナビリティ対応やグローバル事業体制の強化を目的とした人員増による人件費の増加を見込むと共に、EUVフォトマスクの市場確立に合わせた提案機能の強化のため、研究開発費の増加を見込んでおります。結果として、営業利益は25,500百万円(前年対比90.4%)と見込んでおります。
(4)金融収益・費用、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益
金融収益は為替差益と受取利息により1,025百万円(前年対比30.0%)、金融費用は主に支払利息により1,075百万円(前年対比79.7%)を見込んでおります。
法人税等については、7,037百万円(前年対比33.8%)と大幅な減少を見込んでおり、これは2025年3月期において、当社グループの資本再編及び、海外現地法人において繰延税金資産の取り崩しを行ったことにより、大きな税金の発生があったことによるものであります。
以上の結果として、税引前利益は25,915百万円(前年対比84.2%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は18,878百万円(前年対比189.8%)を見込んでおります。
【業績予想に関するご留意事項】
本資料に記載されている業績予想等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因によって異なる場合がございます。
以 上
ご注意:
この文書は、当社グループの業績予想に関して一般に公表するための記者発表文であり、日本国内外を問わず一切の投資勧誘又はそれに類する行為のために作成されたものではありません。
また、本記者発表文に記載されている当社グループの計画、見積もり、予測、予想その他の将来情報については、本記者発表文の作成時点における当社の判断又は考えに過ぎず、実際の当社グループの経営成績、財政状態その他の結果は、経済状況の変化、市場環境の変化及び他社との競合等により、本記者発表文の内容又は本記者発表文から推測される内容と大きく異なることがあります。
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テクセンドフォトマスクについて
テクセンドフォトマスク株式会社は、半導体用フォトマスクの製造・販売会社として、凸版印刷株式会社(現TOPPANホールディングス株式会社)からの会社分割により設立され、2022年4月より営業を開始しました。東京に本社を構え、世界各地に広がる顧客サービスネットワークと、主要な地域にある8つの製造拠点を活用し、業界最先端の技術開発力で、外販フォトマスクのリーディングカンパニーとして半導体産業の発展に貢献しています。また、フォトマスク事業で培った加工技術を活かして、ナノインプリントモールドを始めとする微細加工製品にも事業領域を拡大しています。
公式ウェブサイト:https://www.photomask.com/
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