テクセンドフォトマスクの歴史

1960s

フォトマスク製造の開始

1960年代、シリコントランジスタの普及に伴い、シリコン基板上に光を用いてパターンを形成し、現像・腐食を行うフォトリソグラフィ技術が半導体製造の中核となりました。これにより、高精度なマスクが求められるようになります。
こうした要請に応えて、従来に比べて高い寸法精度を実現するガラス乾板を用いた「フォトマスク」が登場しました。 この「フォトマスク」が私たちの出発点になります。

1960s-
1970s

クロムマスク製造の開始と高精度化への対応

1970年代、半導体の高集積化が進展する中で、フォトマスクにはこれまで以上に高い精度と耐久性が求められるようになりました。
こうした要求に応え、私たちは1970年、日本で初めてクロムマスクの製造を開始しました。
従来のエマルジョンマスクは、ゼラチン層にパターンを形成する構造であり、露光工程においてマスク表面が接触することで傷が生じやすいという課題がありました。クロムマスクはこの課題を克服し、高精度かつ安定したパターン転写を可能にする技術として、やがて主流となっていきます。
さらにこの時期、フォトマスクのパターン作製方法は大きな転換期を迎え、高精度用途を中心に新技術の導入が進みました。
これに対応するため、描画装置の導入を進め、フォトマスク製造における精度向上を図りました。

1990s

量産体制の整備と製造基盤の強化

1990年代に入り、フォトマスクにはさらなる微細化への対応と精度向上が求められるようになりました。
私たちはモリシリ膜を使用したハーフトーン型位相シフトマスクの製造技術を確立しました。
1998年には滋賀工場にフォトマスク新棟を竣工し、高度化する技術要求に応える生産体制を整備しました。これにより、品質と供給力の両面からフォトマスク事業を強化し、次世代技術に対応するための基盤を構築しました。
また、台湾における需要に応えるため、中華凸版電子(TCE)を設立し、初の海外拠点を構築しました。

2000s

グローバル展開の加速

一方、2000年代初頭には、米国のITバブル崩壊を契機とする世界同時不況の影響を受け、国内半導体メーカーは経営体制の再構築を余儀なくされます。
こうした環境変化の中で、私たちは半導体メーカーのフォトマスク部門との協業を積極的に推進し、生産技術の確立を図ることで事業を成長させてきました。2005年には、米国のフォトマスク開発・製造大手であったデュポン フォトマスク社を買収し、グローバルな開発・生産体制を強化しました。
2005年5月には米IBMコーポレーションとの共同開発を開始し、半導体の微細化に対応した技術開発を継続的に進めました。
さらに2007年には信越化学工業と共同で、45nm・32nm対応のフォトマスクブランクス「OMOG」を開発し、加工精度と信頼性を大幅に向上させています。
これにより、翌年には32nm世代フォトマスクの量産体制を確立しました。

2010s

14nm以細の実現

2010年代に入り、14㎚世代の開発はFinFETの本格導入により、マスクの難易度は大きく高まりました。
こうした技術転換期に対応するため、私たちは2011年に引き続きIBMと14㎚世代ロジック半導体向け最先端フォトマスク製造プロセスに関する共同開発契約を締結しました。
次世代プロセスに対応したフォトマスク技術の開発を進め、開発力と技術基盤の蓄積を加速させていきました。
これらの取り組みの成果として高い転写特性と長寿命を両立させた新型位相シフトマスクを世界に先駆けて開発しました。
この技術は14㎚以細の実用化を支える重要な要素技術の一つとして、半導体製造を下支えしています。

2020s

独立と上場による飛躍、EUVリソグラフィへの展開

2020年代に入り、半導体市場は急速な成長局面を迎え、フォトマスク事業においてもより迅速で柔軟な研究開発および設備投資が求められるようになりました。
こうした状況を踏まえ、フォトマスク事業のさらなる成長と発展を目的として、私たちは2021年12月に凸版印刷株式会社からカーブアウトし、株式会社トッパンフォトマスクを新たに設立。インテグラルの出資を受けた新たな事業体制のもとで、成長戦略を加速させました。
2024年には技術で未来へと進化するという想いを込めて「テクノロジー(technology)」と「アセンド(ascend:上昇する)」を組み合わせたテクセンドフォトマスク株式会社へ社名を変更し、2025年10月にはカーブアウト当初の目標のひとつでもあった東京証券取引所プライム市場へ上場を果たしました。
技術面ではEUVリソグラフィの実用化を見据え、新吸収膜、Curvilinearなどの開発をIBM、Imecと共同で推進しています。
今後も私たちテクセンドフォトマスクは市場やステークホルダーのニーズに真摯に向き合い、先端微細加工技術で革新的な未来を描くために邁進していきます。